将棋の藤井聡太七段が、2020年7月16日にヒューリック杯棋聖戦で渡辺明九段(三冠)を相手に5番勝負のうち3勝1敗とし、見事に棋聖のタイトルを獲得しました。
「神の手」とも称される、史上最年少タイトル藤井棋聖の誕生です!
誕生日の3日前にして初タイトル獲得で、とても嬉しい誕生日プレゼントになりましたね。
(プレゼントというより、藤井七段が自分自身でつかんだ栄冠ですが)
17歳11ヶ月でのタイトル獲得は、屋敷伸之九段が1990年に18歳6ヶ月で同じ棋聖のタイトルを獲得した最年少記録を半年以上も上回ったことになります。
わずか17歳という年齢での初タイトル獲得は、今後しばらくは更新されることはないんじゃないでしょうか?
まさかここまでの偉業をやってのけるとは、本当にビックリです。
さらに、その後の王位戦でも木村一基九段に勝利して王位獲得で二冠となりました。
同時に、八段に昇段しました。
今後は、藤井七段ではなく「藤井八段」や「藤井二冠」と呼ばれることになるのですが、気になるのは九段の段位にいつあがれるのかということですね。
九段への昇段にも将棋界での最年少記録の期待がかかっているので、この先に藤井二冠が九段になれる最短の予定はいつの時期になるのかも注目です。
藤井聡太が、九段に昇格できる最短期間の条件は何か、予定やはいつなのかについてまとめます。
藤井聡太は王位戦で王位獲得して八段に昇格する条件を満たした
2016年10月1日 四段
2018年2月1日 五段
2018年2月17日 六段(16日)
2018年5月18日 七段(3か月)
2020年7月16日 棋聖(2年2ヶ月)
2020年8月20日 二冠(36日)#藤井聡太 #藤井二冠 pic.twitter.com/Y5WKRHww3R— れいけん (@paddock_watcher) August 20, 2020
日本将棋連盟によると、将棋で八段の段位に昇段するための条件は以下の4つのどれかになります。
八段になるための条件
- 竜王位1期獲得
- 順位戦A級昇級
- タイトル2期獲得
- 七段昇段後公式戦190勝
この中の、どれか1つを達成できればOKです。
棋聖のタイトルを獲得したときの藤井聡太は、今年中に八段に昇段できるチャンスをつかんでいました。
その昇段の条件とは、「タイトルを2期獲得」です。
タイトル2期というのは、以下のどちらかになります。
・1つのタイトルを2期(2年間)持つ
・2つのタイトルを1期(1年間)持つ
将棋のタイトル戦はどれも年1回ですから、2つのタイトルを獲得した時点で「タイトル2期獲得」の条件を満たします。
つまり、棋聖のタイトルを獲得した藤井七段は、タイトル「王位戦」にも勝利したことでタイトル2期獲得できたので八段に昇格したわけです。
あっという間に、師匠の杉本昌隆八段に段位で追いついてしまいましたね。
七番勝負の王位戦で4連勝して、王位を獲得できる最も早い日の対局日程である8月20日に決めてしまいました。
よって、藤井聡太七段が二冠になって八段になる最短の予定日の2020年8月20日に最年少記録を達成したことになります。
(王位戦が、最後の対局予定日までもつれ込んだ場合は9月29日の予定でした)
藤井七段が8月20日に王位のタイトルも獲得して八段になり、18歳1ヶ月での八段昇段となります。
将棋界で18歳1ヶ月での八段は、これまでの将棋の歴史で文句なしの最年少記録です。
これまでの八段昇段の最年少記録は、ひふみんこと加藤一二三九段が1958年4月に記録した18歳3ヶ月なので、2ヶ月も更新しました。
もし王位戦が最終対局までもつれ込んだとしても、18歳2ヶ月での昇段になるのでやはり最年少記録を更新できていたことになります。
逆に言えば、ひふみんが持っていた八段の最年少記録を更新するには「今期の王位戦のタイトルを獲得する」しかなかったんです。
そのたった1つしかなかった最年少記録の条件を、4連勝の最短で達成してしまった藤井二冠の実力には本当に驚かされます。
藤井聡太が最年少で九段になる条件はタイトル三冠しかない
最年少の昇段記録
四段 藤井聡太 14歳2カ月
五段 加藤一二三 15歳3カ月
六段 藤井聡太 15歳6カ月
七段 藤井聡太 15歳9カ月
八段 加藤一二三 18歳3カ月
九段 渡辺明 21歳7カ月 pic.twitter.com/tOBssaNfRY— 株吉 (@cischaba) May 18, 2018
将棋の九段の段位に昇段するための条件は、日本将棋連盟によると以下の4つです。
九段になるための条件
- 竜王位2期獲得
- 名人位1期獲得
- タイトル3期獲得
- 八段昇段後公式戦250勝
この4つの条件のうち、どれか1つを達成できれば九段になれます。
難易度は別として、達成できるまでかかる時間が最も短いのは「名人位1期獲得」です。
名人のタイトル1つを獲るだけの条件ですからね。
しかし、残念ながら今期の名人戦では藤井七段は挑戦者決定戦を勝ち上がることができませんでした。
よって、藤井聡太七段が最も早く九段への昇段を達成できる条件は「タイトル3期獲得」になります。
つまり、タイトルを3つ獲得して三冠になればいいんです。
三冠になればいいんです、って決して簡単なことではないですが・・・
棋聖のタイトルを獲得している藤井七段は、さらに王位戦のタイトルも獲得して二冠になって八段にあがりました。
さらに、その勢いでもう1つタイトルを獲得すれば三冠となって条件を満たして最短で九段になれるわけです。
最速で九段になる時期はいつ?最年少記録を更新できる?
藤井聡太八段が九段になる最短条件は、今期にタイトルを3つ獲得の三冠であることがわかりました。
今期の将棋のタイトル戦で、棋聖戦と王位戦のほかに藤井二冠が挑戦権を獲得できる可能性が残っているのは王将戦のみになります。
王将戦の挑戦者決定戦で勝ち上がって挑戦権を獲得し、さらに本戦でも勝ち越せば王将のタイトル獲得で三冠になり、同時に九段に昇段できます。
王将戦は、毎年1月から3月にかけて開催されるタイトル戦です。
7番勝負のうち4勝できればタイトル獲得で、第4局目は例年2月下旬に開催されているので、4連勝の最短で決められれば2021年2月中に三冠となり九段に昇格できます。
4連勝で決められなかったとしても、翌月の3月に4勝目をあげられれば三冠となり九段になります。
つまり、藤井二冠が王将タイトルも獲得できた場合の2021年2月(もしくは3月)が九段になる最短期間となります。
2021年2月に九段の条件を満たした場合では、達成時は18歳7ヶ月の年齢です。
現在までの九段の最年少記録は、棋聖戦での対局相手だった渡辺明九段が持っている21歳7ヶ月です。
21歳7ヶ月の最年少記録を18歳7ヶ月に更新したとなると、3年も更新してしまうことになりますね。
ちなみに、渡辺明九段が当時に昇段を決めた条件は、2005年11月の竜王戦で防衛して竜王タイトル2期獲得でした。
現在の最年少記録が竜王戦の防衛での九段昇段ですから、藤井棋聖が王将のタイトル獲得での九段昇段というのも十分にあり得ることです。
もちろん、こんなに順調に最速で九段に昇段できるとは限りません。
しかし、最速で達成したケースで最年少記録を3年も更新できるので、1年や2年くらいかかったとしても最年少記録の更新は十分にできますよ。
2021年2月か3月に九段になる最短記録が無理だった場合は、三冠ではなくタイトル3期でOKです。
たとえば、すでに持っている棋聖戦での防衛戦で勝利するなどのパターンでもタイトル3期獲得で九段になれますね。
王将を獲得しての三冠は、あくまで考えられる最短記録でのケースになります。
藤井二冠の九段の最年少記録更新は八段以上に可能性が高い!
木村一基王位(47)に藤井聡太棋聖(18)が挑む第61期王位戦7番勝負第4局2日目が20日、福岡市の大濠公園能楽堂で行われ、3連勝中の藤井が勝利し無傷の4連勝。藤井は、羽生善治九段(49)が持つ最年少2冠(21歳11カ月)、加藤一二三・九段(80)の最年少八段昇格(18歳3カ月)を18歳1カ月で更新した。 pic.twitter.com/19KZqY14l2
— 蘭丸 (@ranmaru_x_) August 20, 2020
棋聖と王位のタイトルを獲得した藤井聡太八段(二冠)について、九段に最短でいつ昇段できるのかについて解説しました。
- 藤井棋聖は王位獲得して二冠となり、同時に八段の最年少記録も更新した
- 八段の最年少記録更新の条件は、今期の王位タイトル獲得しかなかった
- 藤井二冠が最短で九段になる条件は、今期タイトル3つ獲得の三冠しかない
- 九段になる最も早い時期は、2021年の2月か3月の王将戦での勝利になる
- もし最短で九段に昇段したら、最年少記録を3年も更新できる
最年少でのタイトル挑戦記録を打ち立て、さらに棋聖戦での勝利で最年少のタイトル記録も更新した藤井聡太です。
さらに、王位戦を4勝0敗で終えての王位獲得で、二冠と八段と最年少記録も更新してしまいました。
このままの勢いで、九段になる最年少記録も更新してしまうのでしょうか?
将棋界の四段と六段と七段に昇格した年齢の最年少記録を持っていて、さらに八段の最年少レコードホルダーにもなった藤井聡太です。
九段の最年少記録も、いやでも期待してしまいます。
最年少記録はもちろんですが、今後の対局もすごく楽しみですね。
~2021年7月追記~
藤井聡太が、ついに九段に昇段となりました。
棋聖戦で渡辺明名人の挑戦に勝利して防衛成功し、棋聖のタイトルをもう1期持つこととなってのタイトル3期獲得での九段昇格の条件を満たしました。
最短ではなかったとはいえ、これまでの最年少記録の21歳7ヶ月を2年8ヶ月も更新し、18歳11ヶ月での最年少記録です。
10代での九段昇段を達成した藤井二冠のこれからの活躍が、ますます楽しみですね。
~2021年11月追記~
2021年11月13日に、竜王戦にて豊島将之竜王へ挑戦した藤井聡太九段が4連勝でタイトル奪取しました。
19歳3ヶ月での四冠は、もちろん史上最年少です。
さらに、将棋界での最高のタイトルとされる竜王となったのも、羽生善治九段の22歳9ヶ月の最年少記録を3年以上も更新となります。
次々と、最年少記録を更新していく驚くべき将棋棋士ですね!
藤井八段が二冠と八段の最年少記録を更新した対局である王位戦や、対局相手の木村一基九段については、「藤井聡太が王位戦挑戦!最年長タイトルで百折不撓の木村一基九段とは?」で詳しく解説しています。