2020年7月15日に、第163回直木賞と芥川賞の受賞者が発表されました。
芥川賞は、歴史的な文豪の菊池寛が直木賞とともに創設し、文藝春秋が発表する歴史ある賞です。
第1回が1935年に始まり、あの太宰治が受賞を熱望したエピソードまであります。
2020年の第163回の直木賞と芥川賞の受賞者の作家さんと作品はこちらです。
- 直木賞:馳星周「少年と犬」
- 芥川賞:高山羽根子「首里の馬」、遠野遥「破局」
今回の芥川賞は、ダブル受賞となりました。
さらに、受賞者2人のうちの1人の遠野遥は平成生まれで初の芥川賞受賞です。
令和になり、ついに平成生まれの作家の人が有名な賞を受賞する時代になってきたんですね。
さらに、驚くことに遠野遥はデビューしてからまだ2作目の作品で芥川賞受賞とのことです。
デビュー作「改良」に続いて、2作目「破局」で芥川賞受賞は驚きです。
わずか2作目で平成生まれ初の芥川賞を受賞した作家・遠野遥とはどんな人物なんでしょうか?
遠野遥の経歴、そして芥川賞受賞作の「破局」はどんなストーリーなのかをまとめます。
遠野遥の経歴まとめ!デビュー作「改良」でも文藝賞受賞
2019年に文藝賞を受賞しデビューされた遠野遥さん第二作「破局」(文藝2020夏季号掲載)が第163回芥川賞を受賞されました! 同時受賞は「首里の馬」高山羽根子さんです。遠野さん、高山さん、おめでとうございます! pic.twitter.com/UN3AKi0TWf
— 河出書房新社 文藝🍧シスターフッドとコロナ禍日記な秋季号7/7発売 (@Kawade_bungei) July 15, 2020
平成生まれ初の芥川賞作家となった遠野遥のプロフィールはこちら。
- 本名:非公開
- 生年月日:1991年(平成3年)8月22日(受賞時の年齢:28歳)
- 出身地:神奈川県藤沢市
- 出身大学:慶應義塾大学法学部
「遠野遥」という名前を見て、最初は女性かなと思ってしまったのですが男性作家さんです。
本名は非公開ですが、「遠野遥」という名前はペンネームになります。
「遠」と「遥」が並ぶ字面がいいから決めたそうです。
現在は東京都在住ですが、出身地は江ノ島や湘南海岸の観光地でとても有名な神奈川県藤沢市です。
遠野遥の学歴は慶応義塾大学!出身高校はどこ?
遠野遥は慶應義塾大学を卒業しています。
すごく高学歴ですね。
学部は文学部ではなく法学部です。
慶應大学に進学するなんて、出身高校がどこか気になりますが非公表になっています。
大学受験で入学したのか、付属中学校や高校からの内部進学なのかも公表されていません。
デビュー作「改良」でいきなり文藝賞を受賞!2作目「破局」で芥川賞受賞
学歴もさることながら、もっと驚くのはデビュー作で文藝賞を受賞し、2作目で芥川賞を受賞したという異例のスピード受賞です。
デビューしたのも2019年の去年なんです。
28歳で小説「改良」でデビューして第56回文藝賞受賞、そして翌年に2作目「破局」で芥川賞受賞しました。
「破局」のあらすじは?作者の大学生時代が参考になっている?
遠野遥が芥川賞を受賞した小説「破局」は、今年4月に発売された文芸誌「文藝」の夏季号に掲載されていました。
単行本が発売されたのは、今月の7月4日です。
最初の発表からまだ3~4ヶ月くらいの作品なんですね。
私はまだ読んだことがないので、あらすじを調べてみました。
「破局」のあらすじは、主人公「陽介」の語り口で展開していくストーリーです。
主人公の陽介は、就活中でありながら筋トレやラグビーにもはげみ、彼女もいるキャンパスライフを送っている大学4年生です。
主人公の陽介は大学4年生。高校のラグビー部の指導と筋トレをしながら、公務員試験の勉強をしている。一方、政治家をめざす麻衣子という彼女がいたが、灯という新入生と出会う。二人の女性を行き来する陽介。
肉体的にも知的にも優れ、女性とのセックスの機会にも恵まれた陽介だったが、なんとなく虚無の影が漂う。華麗なキャンパスライフを描写する著者の視線はどこか冷ややかだ。
主人公の語り口が、人に話しているようで自分への問いかけの言葉もあり、どこかリアリティがないような雰囲気で、そこに引きこまれてスラスラと読み進められる作品になっています。
口コミでは、一気に読み進められて読みやすい作品と、かなりの好評です。
デビュー作の「改良」も男子大学生が主人公です。
もしかしたら、「改良」と「破局」には作者の大学生時代の経験を参考にして書いた描写があるかもしれませんね。
作者の遠野遥はまだ20代なので、大学生のころの思い出や経験を参考にしたシーンがいくつかあることは十分に考えられます。
「破局」の書籍詳細ページはこちら↓↓↓
芥川賞をデビュー作や2作目で受賞するのは難しいのか?
遠野遥は、デビューから2作目の小説作品で芥川賞を受賞しています。
しかし、過去にはデビュー作で芥川賞を受賞した作家は何人かいます。
(最年少は、19歳11ヶ月のときに「蹴りたい背中」で受賞した綿矢りさ)
たとえば、2015年の第153回芥川賞を受賞したピースの又吉直樹の受賞作「火花」も小説家としてのデビュー作です。
そのほか、石原慎太郎の「太陽の季節」や金原ひとみの「蛇にピアス」なども、デビュー作での芥川賞受賞です。
ですから、2作目での芥川賞受賞は最短記録というわけではありません。
しかし、デビュー作で文藝賞を受賞し、それから1年弱の2作目で芥川賞受賞はやっぱり素晴らしいと言えます。
今後の作品や受賞にも期待大の若手作家の誕生!
平成生まれ初の芥川賞作家・遠野遥について、そして受賞作の「破局」についてまとめました。
デビュー作で文藝賞受賞、2作目で芥川賞受賞と、作家としてデビューからの経歴がとてもビックリの作家さんです。
いずれは、直木賞も受賞するなんてことも十分にあり得ます。
まだ20代の新星の作家さんですが、これからの作品もすごく楽しみですね。