毎年、大晦日の日本の風物詩の1つと言えば除夜の鐘ですね。
日本の伝統文化として、全国のお寺で鐘が鳴らされます。
大晦日から新年を迎えるにあたって、除夜の鐘を鳴らすのは欠かせない行事の1つです。
ここ最近は、除夜の鐘に対して「うるさい」という苦情やクレームが出て、時間を早い時間帯にずらしたり中止にしたりするお寺もあるようです。
なんだか、寂しいというか悲しい気もしますね。
1年に1回の大みそかの日に、鐘の音を聞きながら1年を振り返って来年に気持ちを向けるのはいいものですよ。
ところで、大みそかの除夜の鐘をつく回数や正しいつき方をあなたはきちんと知っていますか?
「12月31日の大みそかの日に、人間の煩悩の数と言われている108回の回数分つくのでは」と思っているとしたら、それは実は間違いなんです!
実は、除夜の鐘は大みそかの日に108回つくつき方ではないんですよ。
1年に一度の大みそかの除夜の鐘について、正しいつき方やマナーをまとめるので、除夜の鐘とともに気持ちよく新年を迎えられるようにしましょう!
除夜の鐘をつく意味は?その歴史はいつから始まったのか?
まず、除夜の鐘をなぜ大晦日につくのかということをあなたは知っていますか?
除夜の鐘について、その意味と歴史について簡単にまとめます。
「除夜」の意味は「除日の夜」!大晦日の夜を表す言葉だった!
そもそも、「除夜の鐘」の「除夜」という言葉の意味からあまりよく知らない人も多いです。
「除夜」は「除日(じょじつ)の夜」の意味です。
では「除日」とは何かというと、大晦日(おおみそか)の別名になります。
「除」という漢字には、「除去」「掃除」などのように「古いものを捨てて新しいものに移る」という意味があります。
大晦日の日は、古い年から新しい年に移り変わる日なので、「徐日」と呼ばれます。
つまり、「除夜」は「大晦日の夜」という意味になるわけです。
知ってしまえば、「そのまんまの意味」と思いますよね。
大晦日は「旧年」を除く日であることから「除日(じょじつ)」とも呼ばれており、その夜を「除夜」と呼ぶようになりました。
除夜の鐘の回数の108回の由来は諸説ある!3つの説を紹介!
除夜の鐘と言えば、108回という回数つくことで有名ですね。
では、この108回という回数はどこから来たのでしょうか?
由来については諸説あり、次の3つの説があります。
- 人間の煩悩の数が108個あると仏教では言われているから
- 1年を構成する月数の12、二十四節気の24、七十二候の72を合わせて108だから
- 仏教用語「四苦八苦」から、四苦(4×9=36)と八苦(8×9=72)を合わせて108だから
この3つの中で、1の説の「煩悩の数」が最も有力な説とされています。
人間に108個もある煩悩の数と同じ数だけ鐘をついて、その煩悩をはらう意味が込められているんです。
除夜の鐘をつく意味は煩悩をはらうため?大晦日は一般人も鳴らせる特別な日!
除夜の鐘をつく意味は、一般的には「人間に108個ある煩悩をはらうため」と言われています。
仏教では、「煩悩を祓うことにより解脱し、悟りを開くことができる」とされているんです。
通常の日は修行僧が鐘を鳴らして煩悩を払いますが、「徐日」と呼ばれる大みそかの日だけは一般の人でも払うことができると考えられたようです。
人間を惑わす煩悩を払い除いて新しい年を迎えることが、除夜の鐘の大きな意味となります。
除夜の鐘の歴史の起源は中国の宋!鎌倉時代に日本の禅寺に伝わる!
では、大晦日の夜である除夜に鐘をつく風習が、日本で始まったのはいつからなのでしょうか?
除夜の鐘は、もともとは中国の宋時代の末期に始まった鬼払いの文化で、日本には鎌倉時代のころに伝わったと言われています。
詳しいことがはっきりと分かっていない部分もあるようですが、その後の室町時代には仏教行事として一般化され、江戸時代にはすでに多くの寺院で行われていました。
除夜の鐘を大みそかにつく回数は108回ではなく107回?!
大晦日の日に除夜の鐘を108回つくということを何となく知っている人は、「大晦日に鐘をつく回数は108回」と思っているかもしれません。
しかし、大晦日に除夜の鐘をつく回数は、一般的には108回ではなく107回なんです。
除夜の鐘は、大晦日の日に107回ついて、年が明けた新年の元旦に1回ついて、合計108回となるんです。
つまり、大晦日のうちに108回ついてしまうんじゃないんですね。
12月31日に鐘をつく回数は、あくまで107回です。
新年をまたいで元日を迎えたあとに最後の1回をついて、108回の除夜の鐘の音の回数になります。
ちょっと細かいことかもしれませんが、きちんと覚えておきましょう。
除夜の鐘のつき方のマナーは?お寺や他の人に失礼にならないやり方
除夜の鐘を鳴らすことができるのは、お寺の住職さんや関係者だけとあなたは思っているかもしれませんが、一般の人でも除夜の鐘を鳴らすことができることもあるんです。
一般の参拝客が鐘をつくことを禁止しているお寺や神社だと無理ですが、鐘を一般開放している場合は希望すれば除夜の鐘をつくことができますよ。
ただし、お寺や神社で鐘をつくときはつき方やマナーがあるので、失礼のないようにして清々しい気持ちで新年を迎えられるようにしましょう。
除夜の鐘をつくときに気をつけるべきポイントやマナーについてまとめます。
お寺で参拝をする前に鐘をつくようにする!始まる時間にも気をつけよう
意外に知られていないですが、寺院や神社などで鐘をつくときは参拝する前につくようにしましょう。
参拝後につく鐘は「戻り鐘」と呼ばれ、功徳が消え縁起が悪いものとされているからです。
ただ、除夜の鐘は新年をまたいでつくものなので、つき始めが夜の22時過ぎになります。
始まる時間も場所によって違ってくるので、あらかじめチェックしておいてください。
22時から始まるとなると、それまでに参拝をすませておきたいと思うかもしれませんが、戻り鐘は避けてください。
除夜の鐘をついたあとに、そのまま新年を迎えて初詣をするなど工夫しましょう。
鐘をつく前後には鐘の場所で合掌と一礼をして、強くつかないように注意
お寺や神社で鐘を実際につくときは、まず合掌と一礼をするのがマナーです。
鐘の前の場所で合掌と一礼をして、鐘をつく撞木(しゅもく)のひもを後ろに引いて鐘を1回ついてください。
鐘をつくときは、思いっきり力を入れたり勢いをつけたりして鐘をつかないように注意しましょう。
あまり強くつきすぎてしまうと、鐘や撞木にヒビが入る原因になります。
普通につけば、音が聞こえないなんてことはないので、そんなに力を入れる必要はないですよ。
鐘をついたあとは、また合掌と一礼をします。
このときに、お願い事や抱負などを心の中で言ってください。
鐘をつき終わったら、ほかに待っている人もいますから、早めに交代するようにしましょう。
スムーズに次の人に交代することも、大切なマナーですよ。
日本の風物詩の1つとして、今後も大みそかに続けたい伝統行事
大晦日の日本の風物詩である除夜の鐘について、意味や歴史そしてつき方やマナーについてまとめました。
除夜の鐘は、およそ800年前の鎌倉時代から現代まで毎年ずっと続けられている日本の伝統行事です。
1年を終え、新しい年を迎えるための大切な行事なんです。
現代では、音がうるさいという意見も聞かれるようになってきましたが、これからもぜひ続けてもらいたい日本の文化だと思っています。
除夜の鐘の音とともに、新年を無事に迎えることができたという気持ちを感じることができるのは日本人ならではです。
NHKの長寿番組「ゆく年くる年」での福井県・永平寺からの中継が有名ですが、除夜の鐘は毎年の大晦日の日常風景として、今までずっと続いてきた伝統的な行事になります。
特に、2020年は新型コロナウイルスの影響が大きい年だったので、2021年でのコロナ禍の完全な終息を願って除夜の鐘をつきたい人も多いでしょう。
世間の人々の思いも込められた除夜の鐘の音が鳴ってほしいですね。
ぜひ、今後もずっと大晦日の日の当たり前の光景として残り続けてほしいと思います。