2021年1月20日に、164回芥川龍之介賞と直木三十五賞の受賞者と受賞作品が発表されました。
芥川賞と直木賞は、歴史的な文豪の菊池寛が創設し、文藝春秋が発表する歴史ある賞です。
今回は、直木賞にジャニーズのグループNEWSのメンバーである加藤シゲアキの小説「オルタネート」が候補となるなど話題になりました。
しかし、残念ながら加藤シゲアキは直木賞受賞とならず、西條奈加の小説「心淋し川(こころうらさびしかわ)」が受賞となりました。
一方、芥川賞を受賞した作品は「推し、燃ゆ」でした。
芥川賞も、ロックバンド「クリープハイプ」のメンバーである尾崎世界観の「母影」がノミネートされていたことが注目されていました。
その中で、見事に芥川賞受賞となったのが宇佐見りんさんの小説「推し、燃ゆ」でした。
作者の宇佐見りん(うさみりん)さんは芥川賞の受賞時は現役大学生で、すでに文藝賞と三島由紀夫賞も受賞している若手の女性作家さんです。
今回の芥川賞受賞は、初のノミネートでの受賞になります。
第162回の芥川賞を受賞した宇佐美りんについてプロフィールや経歴をまとめ、さらに芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」について簡単なあらすじをまとめていきます。
宇佐見りんは大学生の21歳で芥川賞作家となった若手女性作家
第164回芥川賞・直木賞の受賞作品が決定いたしました‼️
【芥川賞】
宇佐美りん『推し、燃ゆ』
【直木賞】
西條奈加『心淋し川』おめでとうございます🎉#芥川賞 #直木賞 pic.twitter.com/0TEOKdWoMw
— ブック&カフェ HAMARU ラクシス フロント店 (@hamaru_yokohama) January 20, 2021
宇佐見りんさんのプロフィールはこちら。
- 1999年(平成11年)5月16日生まれ(芥川賞受賞時の年齢:21歳)
- 出身地:静岡県沼津市生まれ、神奈川県育ち
「宇佐美りん」と誤表記されることがありますが、正しい漢字表記は「宇佐見りん」になります。
本名なのかペンネームなのか気になりますが、調べたところ情報が見つかりませんでした。
芥川賞受賞時の2021年1月20日時点は、21歳の年齢で大学2年生という情報がありました。
21歳で大学2年生ということは、1年浪人か留年もしくは休学したということでしょうか。
宇佐見りんの21歳での芥川賞受賞は、芥川賞で史上3番目の若い年齢での受賞になります。
2003年(平成15年)の第130回芥川賞を、綿矢りさが「蹴りたい背中」で19歳で受賞、同時受賞の金原ひとみが「蛇にピアス」で20歳での受賞でした。
今回の宇佐見りんの21歳での受賞は、それに続く3番目の年齢になるんです。
デビュー作「かか」で文藝賞と三島由紀夫賞を受賞した
文藝賞受賞作品入荷しています
第56回 文藝賞を受賞した『かか』『改良』が入荷しています。
審査員を震撼、困惑、驚愕させた注目の2作品。
ぜひぜひ店頭でご覧下さい。#かか #宇佐美りん #改良 #遠野遥 #文藝賞 pic.twitter.com/hEY0Eedo17— うさぎや (@USAGIYATSUTAYA) November 18, 2019
芥川賞を史上3番目の年齢で受賞した宇佐見りんですが、実はデビュー作で文学賞を受賞しています。
2019年には、デビュー作「かか」で遠野遥とともに第56回の文藝賞を受賞しました。
文藝賞を同時受賞した遠野遥も、昨年の2020年7月に小説「破局」で芥川賞を受賞しています。
しかも、遠野遥は平成生まれ初の芥川賞受賞でした。
宇佐見りんはデビュー作「かか」に続く2作目「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞しましたが、遠野遥もデビュー作「改良」に続く2作目での受賞でした。
ここ2回の芥川賞で、平成生まれの作家さんがデビュー2作目での受賞が連続して、時代の移り変わりを感じさせられます。
遠野遥のプロフィールや受賞作のあらすじなど詳細は、「遠野遥は芥川賞作家で初の平成生まれ!『破局』はわずか2作目の小説!」にまとめてあります。
宇佐見りんはデビュー作「かか」で文藝賞を受賞しましたが、この作品で三島由紀夫賞も受賞しています。
しかも、三島由紀夫賞は歴代の受賞者で最年少での受賞でした。
三島由紀夫賞を最年少で受賞、芥川賞を史上3番目の若い年齢で受賞した作家さんが宇佐見りんさんです。
宇佐見りんの大学はどこ?小説家になるきっかけは小学校時代?
宇佐見りんは現役大学生で、どこの大学に通っているか気になります。
前回の芥川賞受賞作家の遠野遥は慶應義塾大学卒業と公表されていましたが、宇佐見りんの学校に関する情報は非公開でほぼ公表されていませんでした。
数少ない情報を見ると、中学校と高校は中高一貫校に通っていたそうです。
さらに、部活は演劇部だったそうです。
演劇部での活動が、小説を書くのに役立っだのかもしれませんね。
小学校2年生のときに、学校で「小説を書こう」という授業があって、短い物語をノートに書くなどしていたそうです。
小さい頃から文章を書くことが日常的で、母親から「小説はあなたのライフワークになるかも。」と言われたこともあるんだとか。
文章を書く才能や興味やスキルを幼いころからつけていたんですね。
小説を書き始めたのは、高校生の頃からだそうです。
高校生のときには、国語の先生もおすすめの作家である中上健次さんをよく読んでいて、今の宇佐見りんさんが最も尊敬する推しの作家さんだそうです。
宇佐見りんの芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」のあらすじは?
宇佐美りん『推し、燃ゆ』
芥川賞候補の話題作。
あかりにとって推しは「背骨」。
生きづらい日々と、突き動かされるように推し活する日々の間を行き来する彼女の姿に痛みみたいなものさえ感じる。
〈病めるときも健やかなるときも推しを推す〉この一文、推しがいる身としては共感できます。#読了 pic.twitter.com/hDVAe9k55U— masako (@poppy_m0507) January 19, 2021
宇佐見りんの芥川賞受賞作品「推し、燃ゆ(おし、もゆ)」ですが、どんなストーリーなのでしょうか?
大きなネタバレにならない範囲で、小説「推し、燃ゆ」のあらすじを紹介します。
「推し、燃ゆ」の主人公は、あかりという名前の女子高校生です。
学校に居場所がなく、母親や姉との関係がギクシャクしている中で、アイドルグループ「まざま座」の上野真幸くんというメンバーを推しています。
コンサートに通い、グッズを買い集めて、一生懸命に応援して推していたんです。
しかし、推しの上野くんがファンを殴る事件を起こして一気に炎上してしまいます。
果たして、あかりはどうするのか・・・というストーリーです。
タイトルの「推し、燃ゆ」は、「推しのアイドルメンバーが炎上する」という意味の言葉なんですね。
アイドルの推しやインターネット上のSNSでの炎上など、今の時代ならではの題材を使った現代的な内容になっています。
もちろん、ストーリー描写や人の心情の表現などもとても秀逸で、悲哀感や比喩表現の素晴らしさが全編にわたってちりばめられています。
平成生まれの新進気鋭の作家の今後の作品もすごく楽しみ!
芥川賞
「推し、燃ゆ」宇佐美りん
おめでとうございます🎉㊗️現役女子大生
題名に惹かれます
読んで見たい pic.twitter.com/mJ36tAUtbm— ᵇᵗˢ ⟭⟬ ♡ nobu⟬⟭ ℬℰ 💜🕊💙 (@Woy8KZE5FesIiVJ) January 20, 2021
第164回芥川賞を受賞した宇佐見りんさんについて、現在までの経歴・プロフィールと受賞作の小説「推し、燃ゆ」のあらすじをまとめました。
前回の芥川賞では遠野遥さんが平成生まれの作家さんで初受賞したことで話題になりましたが、今回も続けて平成生まれの若手作家さんが受賞しました。
しかも、受賞時の年齢が史上3番目ということも驚きです。
若い小説家の方々もどんどん活躍を見せている文学界で、これから登場してくる作品もとても楽しみですね。
宇佐見りんさんは、次回作の3作目を現在執筆中とのことで、完成して発売されるのが今からとても楽しみです!