高校受験の入試問題で、国語では毎年必ず漢字の問題が出題されます。
受験対策で、漢字の勉強をがんばっている中学生の方はたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、なかなか漢字をしっかり覚えることができなくて苦労している人も多いんじゃないでしょうか。
今はパソコンやスマートフォンが発達して、大人でも手で漢字を書くことが日常でほとんどなくなってきたので、漢字を自然と覚える機会がなくなってきています。
だからこそ、漢字の勉強は昔と比較して難しくなってきて苦労している人が増えているようですね。
また、漢字の勉強よりももっと他のところを重点的に勉強したほうがいいんじゃないかという葛藤を感じつつ勉強している人もいます。
これでは、漢字ができないままなのも無理はないでしょう。
そこで、高校受験に向けて漢字を効率的にしっかり学べるための勉強法やコツを5つまとめます。
さらに、漢字の勉強に疑問が出てきてしまっているケースのために、漢字を学ぶことで得られる3つのメリットも紹介します。
漢字を学習する意味や目的をしっかり認識することで、今後の勉強への姿勢や覚え方が大きく変わってくることもあります。
迷ったりわからないままの勉強にしないために、これからの内容にぜひ一度目を通してください。
高校入試の出題範囲は、書きは小学校までで読みは中学校まで
公立高校の入学試験の漢字で、中学校で習う漢字が出題されるのは読み問題だけです。
書き問題で出題されるのは、小学校で習う漢字までです。
ですから、高校受験の場合には中学校で習う漢字をしっかり書けなくてもなんとかなる場合もあります。
(もちろん、しっかり読み書きできるようにしておくのが理想ですが)
もしどうしても余裕がない場合は、中学校の漢字の書きを後回しにするのも手ですね。
ちなみに、小学校6年生までに学校で習う漢字は漢検では5級レベルにあたります。
中学校3年生までで習うのは、漢検3級までの漢字です。
ただ、読み問題では高校在学の準2級レベルの漢字が出題されることがあるので、読み問題対策には準2級レベルまで勉強しておきましょう。
漢検の参考書やテキストで勉強するときの参考にしてください。
高校入試の受験対策に効率的に漢字を覚える5つの勉強ポイント
では、ここから漢字を効率的になおかつしっかり覚えるための勉強法のコツをまとめます。
漢字の勉強法と聞くと、ひたすらの書き取りをイメージする人がいますが、ただ書き取りするのはあまりおすすめしません。
書き取りは美文字の練習にはいいかもしれないですが、漢字を覚えるのには効率が良くないです。
ひたすら一文字の漢字を書くのではなく、学んだ漢字をしっかり活かせる知識にするための勉強法をまとめますね。
この勉強法は、高校受験だけじゃなく中学校受験や大学受験、そして漢検にも応用できる勉強法なので、今後の漢字の学習のためにぜひ覚えておいでください。
①漢字の訓読みと音読みの読み方を全て覚える
まず、漢字の読みを全て覚えます。
すごく特殊な読み方までがんばって覚える必要はなく、まずは基本的な訓読みと音読みだけで大丈夫です。
読み方がわからない漢字が書き問題に出てきても書くことはできないので、まずは読みをしっかり勉強して覚えましょう。
1つ1つの漢字の読みをちゃんと覚えてさえいれば、全く見たことがない熟語の読み問題が来ても、2つの漢字のそれぞれの読み方を組み合わせて当てられることもあります。
②読み方だけでなく漢字の持つ意味も一緒に覚える
読み方を覚えたら、漢字の持つ意味も一緒に覚えてください。
訓読みがある漢字なら意味を一緒に覚えやすいですが、音読みしかない漢字でも意味をしっかり覚えましょう。
漢字の意味も一緒に覚えておくことで、漢字の書き問題で答えの漢字が思いつきやすくなります。
同じ読みの漢字で悩むことや、同じ読みの違う漢字を書いて間違えることもなくなりますよ。
たとえば、「泉」を「せん」「いずみ」の読みだけ覚えるんじゃなく、「湧く泉」の意味やイメージもおさえておくんです。
そうすれば、「おんせん」の書き問題が出てきたとき、「温かい泉」のイメージで「温泉」という表記を思い出しやすいです。
漢字の意味を覚えずに読みだけを覚えていたら、「おんせん」を「温銭」なんて書いて間違うリスクがありますからね。
③漢字は単体で覚えるだけではなく、熟語での使用例をいくつも覚える
漢字は1つ1つの漢字の読み方と意味をしっかり覚えるのが基本の勉強部分です。
読みと意味をちゃんと覚えたら、熟語での使用例もいくつか覚えましょう。
熟語での使用例も覚えることで、漢字の意味も一緒に覚えやすくなりますよ。
たとえば、「詳」という漢字の使用例として「詳細(しょうさい)」という熟語を覚えていたら、いろいろ応用が効きます。
「不詳」の熟語が読み問題に出ても、『詳細(しょうさい)の詳(しょう)と同じ字だから「ふしょう」と読むんじゃないか』と考えることができます。
「詳しく細かい」という意味も一緒に覚えられるので、訓読みの「詳しい(くわしい)」も覚えやすくなるメリットもあるんです。
書き問題でも同じです。
「成績」の熟語をちゃんと覚えていたら、「功績」の書き問題が出ても間違えることがなくなります。
「こうせき」は「成績」と似たような意味の言葉だから、「せき」の字は「成績」と同じ「績」を書くと考えられるようになって覚えやすく間違えにくくなるわけです。
④漢字の形は全体像ではなく、部首などパーツに分けると覚えやすい
漢字の書き問題では、正しい漢字を使うほかに漢字の形を正確に書けるかもポイントです。
使う漢字を思い出すのは、読み方と意味を覚えることで対策できます。
でも、漢字の形をしっかり正確に書けるようになるためには、読みと意味を覚えるだけでは厳しいですね。
「漢字を正しく書けるようになるには、ひたすら書き取り」と言う人もいます。
でも、1つの漢字をひたすら書き取りして覚えようとするのはおすすめしません。
時間と労力がすごくかかるので漢字学習が嫌になってしまい、覚えられなくなってしまうリスクがあります。
しかも、ただ書き続けるだけでは無意識的な作業になるので、結局はうろ覚えになっていることもよくあります。
漢字の形をしっかり覚えるコツは、漢字をパーツで考えて理解することです。
この覚え方は、画数が多くて複雑な漢字を覚えるケースで特に役立ちます。
画数が多い漢字を全体的な形で覚えようとしてもわかりにくいのなら、漢字をパーツに分解して覚えるのがおすすめの勉強法になります。
漢字は部首やつくりなどのパーツで構成されていて、いくつかの部分に分解することができるんです。
「裏」という漢字は、「里」を「衣」ではさんでいる形になります。
「樹」という漢字は、「十」の下に「豆」が書かれ、それが「村」ではさまれています。
こう考えると、漢字の形や書き方がわかりやすく頭に入ってきませんか?
1つの漢字を全体の形で覚えようとしても難しいですが、易しい漢字やパーツに分解して考えれば全体の形を理解しやすくなるんですよ。
さらに、「裏」という漢字には「里」が入っているので、「里」の漢字と同じく音読みは「リ」になります。
「眺(チョウ)」という漢字の「兆(チョウ)」など、漢字は構成している部分が音読みを表しているケースもよくありますね。
パーツを意識することで読み方も一緒に意識して覚えることができるんです。
漢字はパーツに分解して考えて覚えることで形がわかりやすくなり、頭に定着して忘れにくくなります。
さらに、その漢字のパーツを構成している別の漢字から、読み方まで覚える(または推測する)こともできちゃうんですよ。
⑤漢字を勉強する時間の中で、一度は必ず手で書くことを心がける
漢字を覚えるときに書き取りは必要ないと言いましたが、一度は必ず書いてみるのをおすすめします。
漢字の読みや意味を覚えて、パーツにわけて形の構成を意識した後に、実際に手で書いておくことで頭にさらに定着しやすくなります。
漢字の形を意識することなく、ひたすら漢字を単体で書き続ける勉強法では、いざテストのときに細かい部分がうろ覚えになってしまっている危険があるんです。
読みと意味を覚えて、パーツごとの形の構成を意識して覚えた後に書くことで、書き取りほどたくさん書かなくても覚えやすくなりますよ。
ただ、パーツに分けて考えるのが難しい漢字の場合は、多少は多めに書いて覚えることも必要になってきます。
それでも、読みや意味をしっかり覚えてから書けば、そこまで大量に書き取りをしなくても覚えやすくなりますよ。
もちろん、練習問題で書き間違えてしまった漢字は、また書いて反復して学習してくださいね。
中学校で高校受験に備えて漢字を勉強する3つのメリット
いくら効率がよくて効果的な勉強法を知ったとしても、勉強する意欲がなければ知識として入ってきにくいですよね。
漢字をもっともっと学びたくなる強い姿勢を作るために、漢字の勉強の大きなメリットを3つまとめます。
①高校入試問題の配点で漢字が占める割合が思った以上に高い
「漢字なんてちょっとくらい間違えても、全体の点数にそんなに大きな影響はない」と軽く考えている人も意外といます。
その考えには、「ちょっと待った!」と言いたいですね。
実は、高校入試の国語の試験問題で漢字の配点が占める割合は、思った以上に高いケースがあります。
平成30年度の公立高校入試問題では、東京都の都立高校では国語の点数100点満点のうち漢字の配点の割合が20点分を占めています。
書きと読みがそれぞれ5問10点ずつの合計20点で、全体の2割が漢字の問題なんです。
これを聞いて、「ちょっとくらい間違えても大丈夫」なんて言えるでしょうか?
神奈川県は8点、京都府は3点、大阪府は8点と都道府県によって差はありますが、意外と漢字の点数を占めているケースは多いです。
特に、難関私立高校は漢字の問題を重要視している学校が多いので、さらに漢字の出来が合格に大きく影響してきますよ。
②読解力が上がるので文章問題の得点アップも期待できる
漢字を勉強することで、自然と読解力がアップします。
新しく漢字を学ぶことで知らない熟語の言葉を覚えたり、例文を読んで文章を読む力が身についたりするので、長文の文章を読む能力もアップするんです。
長い文章を読んで理解できるようになれば、文章問題での点数アップにもつながりますね。
入学試験や学校のテストでの漢字の点数アップだけではなく文章問題の点数アップにもつながるので、国語全般の成績アップ効果まで期待できますよ。
③語彙力が増えて表現力やコミュニケーション能力がアップする
漢字を勉強するメリットが出てくる場面は、なにもテストや受験だけじゃありません。
普段の日常生活も豊かになります。
漢字を勉強する過程で言葉をどんどん覚えていくので、語彙力があがって会話やコミュニケーションスキルがアップしていくんです。
「語彙力が足りなくて、うまく表現できない」と言う人をときどき見かけますが、語彙力があがると言葉のバリエーションが増えてコミュニケーションが楽しくなりますよ。
漢字の勉強は、家族や友達との毎日の会話を楽しくしちゃえるんです。
中学生や高校生は多感な時期なので、コミュニケーション能力や言葉に表す表現力はとても大切ですよ。
漢字に興味を持って楽しくなることが最強の勉強法
中学生が高校受験に臨むためにおすすめの漢字の勉強法をまとめました。
最後に、重要な部分をもう一度まとめます。
- 漢字を勉強するときは、読み方と意味をまずしっかり覚える
- 文字単体で覚えるのではなく、熟語の例もいくつか覚えておく
- 形を正確に覚えて書くには、パーツごとに分けて考え理解する
しかし、漢字の勉強で最強とも言えるのは「漢字に興味を持ち、楽しいと思うこと」です。
これさえできてしまえば、自然に漢字をどんどん覚えていけちゃいます。
今は、小学生が受験する中学校の入学試験問題の社会の教科でも用語を漢字指定で書かせるようになってきており、漢字が書ける重要性はますます高くなってきています。
⇒中学受験の入試問題で社会用語の漢字指定は常識?効果的な勉強法は?
勉強やテストのためと無理やり漢字に向き合うのではなく、漢字の成り立ちやおもしろい読み方や言葉を見つけてみましょう。
それだけで、自然と漢字をもっともっといろいろ知りたくなってきます。
漢字を「ただの難しくてややこしい文字」と思うのではなく、「日本独自のおもしろい文化が表れた、世界でもレアな文字」として興味を持ってみてください。
それだけで、漢字の勉強で最も大切なところを学べたと言ってもいいですよ。