英語学習で「聞き流し」の勉強方法を、あなたも聞いたことがあるでしょう。
英語の言葉が流れているのを、ただ聞き流すだけで英語力がアップするという学習法です。
「スピードラーニング」などの有名な教材も販売されていますね。
たしかに、聴くだけで英語力がアップするのなら、とても効率が良くて嬉しい勉強法ですよね。
ただ、「聞き流しって、本当に効果があるの?」という疑問も出てしまいますよね。
そんなに都合よく英語ができるようになるのか・・・
そこで、英語の聞き流しが本当に効果があるのか、また寝ながら聴く「睡眠学習」についても効果のほどをまとめます。
これから英語の聞き流しをやってみたいと思っている人には、ぜひ読んでもらいたい内容ですよ。
「英語の聞き流し」ってどんなやり方のイメージ?
「英語の聞き流し」というと、あなたはどんなイメージを持つでしょうか?
- 洋楽や洋画の音声をただ聞き続けている
- 英語教材のCD音声をひたすら繰り返して流す
- YOUTUBEなどで英語の動画をなんとなく見てる
こういうイメージではありませんか?
世の中の多くの人は、「聞き流す」という言葉から上記のような聞き方を想像するでしょう。
しかし、この聞き流しのやり方では英語のスキルアップ効果は全くと言っていいほど見込めません。
英語の聞き流し「だけ」では効果なし!その3つの理由とは?
英語の聞き流しでは、英語力を上げる効果は見込めないと言いました。
しかし、厳密に言うと英語の聞き流し「だけ」では効果なしということなんです。
どういうことなのか、理由を3つまとめます。
①知らない英単語をただ聞くだけでは聴き取れないから
英語を聞き流すだけでは、知らない英単語や知らない英語構文が出てきても、聞き取ることさえできずに流れて行ってしまいます。
人間の脳は、知らない言葉を「雑音」として処理してしまうようにできているので、知らない言葉をいくら聞いても聞き取ることさえできないんです。
これは、母国語である日本語でも同じです。
たとえば、津軽弁や薩摩弁などの方言をいくら聴いても、地元の人でなければ何と言っているかわからないですよね。
これは、方言が知らない言葉であるために脳が雑音として処理してしまうので、何と話しているかさえ聞き取れないわけです。
母国語の日本語でさえ知らない言葉はいくら聞いても聞き取れないのに、知らない英単語をいくら聞いたところで聞き取るようにはなれません。
②知らない単語を知らないままで終わらせてしまうから
知らない英単語や英文は、何回聞いたところで聞き取れるようにならないですし、意味もわからないままです。
意味も発音も知らない言葉をただ何回も聞いても、脳が雑音としてひたすら処理し続けるだけなので効果がありません。
津軽弁や薩摩弁を何回も聞いても、聞き取れたりしゃべれたりするようにはなれないのと同じです。
③英語初心者にはハードルが高いから
英語を聴き流す学習方法は、英語初心者の人には特に効果が低いです。
語彙力もまだ低い状態でむやみやたらと英語をただ聞くだけでは、吸収できる量も少ないですし、効果が見込めません。
TOEIC800点や900点レベルの人なら、知らない英単語が出てきても前後の文章から意味を推察しながら学ぶことができます。
しかし、語彙力の少ない英語初心者では英語の音声を聴き流しても聞き取れる部分がそもそも少ないので、学べる量が圧倒的に少なくて効果が出ないでしょう。
英語の発音に慣れる意味や英語学習の習慣化には効果あり
英語の聞き流しは効果がない(特に英語初心者)と言いましたが、全く何の効果もないわけではありません。
英語の音声を聴くことによって、日本語にはない英語独特の発音の仕方(アクセントやリエゾン)などに耳を慣らすことができます。
また、英語を聴くことを習慣化することで、英語のほかの学習方法も習慣化することができて、結果的に英語力がアップすることがあります。
いずれにしても、「英語を聞き流すだけ」ではやっぱり効果は薄いということですね。
英語の聞き流しの勉強法の効果を上げるためのポイント
英語をただ聞き流しているだけでは、英語のスキルアップに効果はほとんどないです。
では、どうしたら英語の聞き流しの効果をアップさせて英語スキルのアップにつなげることができるのでしょうか?
①英単語や英文の意味を理解している音声を聴く
知らない英単語をいくら聞いても、脳が雑音として処理してしまうので聞き取ることもできないと何度も説明しました。
逆に言えば、きちんと知っている英単語であれば聴きとれるのでリスニングなどの英語スキルのアップにつながっていきます。
英語の音声を聴いて勉強するときは、意味をきちんと理解している音声を聴くようにしましょう。
英語の教材ならテキストをあらかじめ読んでおき、知らない英単語は発音や意味をちゃんと調べて覚えておくだけで全然違います。
日本語の歌でも、初めて聞いたときは何て歌っているのかわからない部分があっても、歌詞を見てから聴くと何と歌っているのかちゃんと理解できますよね。
英語のリスニングだって同じなんですよ。
②ポジティブで明るい内容の教材を使う
英語の聞き流しやリスニングで使う音声や教材は、なるべく明るい話題や内容のものを使う用にしましょう。
明るいものというか、暗い話題を使わないようにしてください。
勉強は継続することが何よりも大事なので、音声教材は必然的に何回も聞くことになります。
その内容が聞いてて嫌になるようなものだったら、英語の勉強そのものに嫌気がさしてしまいます。
挫折しないで続けるためにも、聞いてて苦にならない内容の教材を用意してください。
③言語を使う作業をしているときは聞き流しをしない
英語を聞いて勉強するときは、言語を使った作業中にしないようにしましょう。
たとえば、何か本を読みながら聞き流しをするのはよくありません。
脳が他の言語を処理しているときに聞き流しをしても、聞く言葉をうまく処理できません。
聞き流しをするのは、ウォーキングなどの運動中とか入浴中とか移動中とか、ほかの言語を使っていないときにするようにしてくださいね。
④できるのであればシャドーイングも一緒にする
意味をしっかり理解している内容の英語音声を聞くことは、英語のリスニングのスキルアップに効果的です。
でも、できるのであれば、聞いた後にマネしてしゃべる「シャドーイング」も同時に行うともっともっと効果的です。
自分で実際に発音することで、スピーキングのスキルもアップしますし、英語を聞きとる力ももっともっとアップしますよ。
もちろん、シャドーイングをするのは「聞き流し」とは違いますが、聞き流しにこだわり過ぎて学習効果を出せないとすごくもったいないです。
聞き流しだけにこだわらずに、余裕があったらでいいのでシャドーイングもやってみてください。
シャドーイングのやり方の詳しい手順は「英語の勉強法「シャドーイング」のやり方!初心者でも効果はある?」を参考にしてください。
⑤習慣化して継続して聴くようにする
聞き流しでもなんでも同じですが、勉強はとにかく「継続すること」が一番重要と言っても過言ではありません。
聞き流しは、ほかの勉強法と比較してお手軽ではありますが、それでもやっぱり続けないと意味がありません。
効果を出すためにも、ぜひ聞き続けていくようにしてください。
英語を寝ながら聞き流しする睡眠学習の効果は本当にある?
英語を聞き流して勉強するやり方で、ほかに話題となるのが寝ながら聞く「睡眠学習」です。
寝ながら聞き流すだけで英語スキルがアップするのなら、これはものすごく効率のよい勉強方法ですよね。
英語を寝ながら聞き流す「睡眠学習」の効果はウソなのか真実なのか?
結論を言うと、睡眠学習も聞き流しと同じで、知らない英文をいくら聴いても効果は期待できません。
意味をしっかり理解している英語音声を聴くことが大前提です。
さらに言うと、睡眠学習というのは「寝る前に勉強したことが、眠ることで記憶に定着しやすい」という意味合いに使われることもあります。
2012年5月に「Nature」に掲載された論文によると、以下の実験結果が報告されています。
実験は、ドイツ語ネイティヴの生徒60人が被験者となり、午後10時ごろにオランダ語の単語を、いくつか(しかも初めて)学んでもらうというものだ。そして、彼らの半数にはその後研究室で仮眠を取ってもらい、残りの半数にはそのまま眠らないでいてもらった。前者のグループはノンレム睡眠の間に、そしてもう一方のグループは起きた状態のまま、午後10時に学習した単語と同じものの録音を聞かされた。
午前2時、仮眠を取っていたグループは起こされ、眠らなかったグループとともに単語のいくつかをテストされた。
この実験結果では、仮眠グループのほうがテスト結果がよかったそうです。
つまり、睡眠前に勉強することで記憶に定着しやすくなって学習効果がアップするというわけですね。
これのことを「睡眠学習」と表現しているケースもあり、必ずしも寝ながら聞くというわけではないようです。
ただ、「寝ついてから2~3時間後のノンレム睡眠のときに音声を聞くことで、効果的に記憶に残る」という研究結果もあります。
これなら、寝ている間に英語を聞いて勉強できる一石二鳥の睡眠学習のように思えますね。
ただ、音声が流れるタイマーをセットするのが面倒ですし、寝つきが悪い人だとノンレム睡眠のときをうまく狙えるか疑問です。
さらに、寝ている間に英語の音声を聴くことで目覚めてしまったり、睡眠の質が悪くなってしまうリスクもあります。
ですから、本当に寝ながら英語を聞く睡眠学習はおすすめできるものではないでしょう。
英語の聞き流しや睡眠学習はやり方によっては効果あり
英語の聞き流しの勉強法や、睡眠学習の効果について解説しました。
- 英単語や英文の意味を知らない音声をいくら聞いても効果はない
- 意味を調べて勉強した英文を聞くことはリスニングのアップ効果が期待できる
- 聞き流しの勉強方法でも継続することが重要
- 睡眠学習は、寝る前に学習したことが寝ることで記憶に残りやすくなる意味もある
- 寝ながら聞くのは、睡眠の妨げになるリスクがあるのでおすすめしない
結局のところ、聞き流しは手軽で簡単な英語学習の方法ではありますが、それだけでは効果なしです。
英単語や英文の意味をしっかり調べて理解したり、ときには発音もしたりなど、聞く以外の勉強法もしっかりしておくことで聞き流しは相乗効果を発揮します。
聞き流しだけに頼らずに、スピーキングやライティングなどの勉強法もコツコツ続けていきましょう。
そうすれば、聞き流しの効果も驚くほどアップさせられますよ。