日本の法律の民法が改正され、成人する年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
外国では18歳から成人と決められている国が圧倒的に多いため、日本も海外にならって18歳を成年の年齢とするように変わります。
「年齢20歳をもって、成年とする」と定めた現在の民法は明治29年(1896年)に制定された法律です。
100年以上もの間ずっと日本人の成人年齢は20歳以上とされてきましたが、ついに18歳以上の年齢に変わることになります。
日本の歴史の大きな変化の瞬間ですね。
でも、成人する年齢が20歳から18歳に切り替わると、どんなことが起こるのか気になりますよね。
現在の20歳以上の成人ができることは、今後は全て18歳からできるようになるのでしょうか?
成人して最初の大きなイベントである成人式は、これからは18歳で出席するようになるのかが特に気になるところです。
また、身近な法律違反がからむところで、お酒やタバコの飲酒・喫煙の問題も大事ですよね。
選挙権はすでに20歳以上から18歳以上に引き下げられていますが、成人の年齢が法律で変わることから今まで以上に「できること・できないこと」を覚えておかないといけません。
本人だけでなく、18歳前後のお子さんがいらっしゃる親御さんにとっても大切なことです。
民法が改正されて成人年齢が変わったら、成人式は何歳で参加するイベントになるのか?
18歳で成人式を迎えるのは、何年生まれからなのか?
成人式以外にも、お酒やタバコは18歳でも認められるのか?
ほかには、どんなことができるようになるのか、また20歳にならないとできないままのことはあるのか?
成人式をはじめとして、18歳成人について詳しくまとめます。
成人年齢が18歳になるのはいつから?民法改正後の成人式の年齢は何歳?
まず、成年年齢を定めた民法が改正されて、成人年齢が18歳に変わるのはいつなのかということを最初に知らないといけませんね。
民法が改正されて施行される日は、2022年(令和4年)の4月1日になります。
つまり、2022年4月1日の時点で18歳以上の人は全て「成人」となります。
18歳でも19歳でも、20歳以上の人と同じ成人の扱いになるわけです。
18歳成人で成人式の時期を迎えるのは、2004年度に生まれた世代から
2022年4月から成人が18歳以上の年齢になるので、2023年1月の成人の日が民法改正後の初の成人の日となります。
日本で初めて成人の日を18歳で迎える世代は、2004年4月~2005年3月に生まれた2004年度生まれの人たちになります。
同時に、2005年度生まれの人たちは、19歳で初めての成人の日の時期を迎える唯一の世代ということになりますね。
2023年1月以降も成人式は20歳のままで開催する自治体が多い?
2023年から、18歳で成人となった年代の人が成人式の時期を迎えるとわかりました。
では、2023年以降の成人式に出席する新成人の年齢はどうなるのでしょうか?
18歳に変わるのか、20歳のままなのか?
成人式の内容については法律で決められているわけではないので、各自治体の判断に任せられることになります。
そもそも、「成人の日」は「国民の祝日に関する法律(祝日法)」という法律で、祝日で休みにすることやその意義がちゃんと定められているんです。
↓↓↓成人の日については、こちらで詳しく解説しています
しかし、「成人式」は、法律であり方や催し方を決めているわけではありません。
成人式の開催は各自治体に全て任されているのが現状なので、自治体によって18歳を対象に開催したり20歳で開催したりしても、法律上の問題は全くないんです。
ただ、自治体ごとの回答や発表によると、「成人式は、20歳を対象としたまま開催していく」というところが多いようです。
成年年齢が20歳から18歳に変わったとしても、多くの自治体では成人式に出席する人たちは20歳が対象のまま変えずにいくようです。
「成人式の出席対象者を、20歳から18歳に変更する」とはっきり公表している自治体は、2020年時点で1つもありません。
未定の自治体も多いですが、おそらく成人式は20歳が参加するイベントのままになるのではないでしょうか。
成人式の出席者の対象を18歳にするメリットとデメリットは?
では、もし成人式に参加する年齢を日本全国で18歳に変更するとしたら、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
- 成年年齢と成人式の年齢が同じなのでわかりやすい
デメリット
- 18歳の高校3年生の1月は、大学受験や就職直前の時期と重なるため忙しい
- 高校卒業直前の時期なので、20歳で集まるのと違って同窓の楽しさが薄れる
- 切り替えの2022年度は、18歳・19歳・20歳の3学年の人が成人式になってしまう
メリットとしては、成年年齢と同じなので混乱しないというのがありますが、実際に開催する点でデメリットが多いようですね。
これらのデメリットから、成人式はこれからも20歳のままで開催する予定と回答している自治体が多いんでしょう。
18歳で成人したらお酒もたばこもOK?他にできることとできないことは?
成人する年齢が18歳になることで、成人式のほかに気になることがお酒とタバコです。
現在は飲酒と喫煙は20歳からですが、成年年齢が18歳になったら18歳からお酒を飲んだりタバコを吸ったりできるようになるのでしょうか?
お酒とタバコのほかに何が18歳からできるようになるのか、できることが20歳からのまま変わらないことは何なのかについてまとめます。
成年年齢が18歳に変わっても、「飲酒と喫煙は20歳の誕生日から」
18歳から成人となったら、18歳になった日にお酒を飲んだりタバコを吸ったりできるのでしょうか?
結論から言うと、成年年齢が18歳に引き下げられた後も飲酒と喫煙は20歳にならないと認められません。
これは、若年者の健康面などに配慮するための制限であり、成年であるか否かに関係なく単に20歳という年齢から認められているからなんです。
現在の日本での飲酒と喫煙は、成年しているからOKというわけではなく、20歳からOKと定められているんですね。
あくまで、「成年年齢」と「飲酒・喫煙が認められる年齢」は別ということです。
ただ、外国では18歳や19歳から飲酒が認められている国もあり(逆に21歳からという国もありますが)、今後の日本でも飲酒の年齢が引き下げられる可能性はゼロではありません。
また、競馬や競輪、オートレースなどの公営競技のギャンブルも、成年は関係なく20歳からと決められています。
以前は、20歳以上でも学生だと馬券などを購入するのは法律違反でしたが、2005年1月1日から法改正されて20歳以上なら学生でも購入できるようになっています。
18歳になって成人すれば、すべて1人で契約ができるようになる
では、成年年齢が18歳になった場合に、何ができることが認められるのでしょうか?
それは、「契約を自分1人でできるようになる」ということです。
成人になれば、両親など法定代理人の許可がなくても契約を自分で決めて自分で結ぶことができるようになります。
家や車の購入などの大きな買い物をする、アパートを借りて住む、ローンを組む、こういったことも自分1人だけで契約することができるんです。
どんなに大きな契約内容でも、今までは20歳からだったのが18歳からできるようになるわけですね。
ただし、法律上いくら全部1人で決められると言っても、両親など家族に事前に相談した方がいい場合もあるので、そこは注意です。
結婚できる年齢が男性女性ともに18歳に統一される
成人する年齢が18歳に引き下げられるとともに、結婚できる年齢も変わります。
現在は男性が18歳以上で女性が16歳以上が結婚できますが、民法改正後は男女ともに18歳以上となります。
男性は変わりませんが、女性の結婚できる年齢が2歳上がりますね。
ただし、男性の結婚年齢が変わらない、女性が2歳上がるというほかに、大きな変化があります。
結婚をするのに親の同意を必要とするケースが、一切なくなるんです。
現在の法律では、未成年の10代で結婚する場合は、親の同意が必ず必要でした。
それが、18歳の成年年齢になったら、結婚するときはすでに成人になっているので親の同意なしで結婚できるわけです。
極端な話をすれば、高校3年生同士のカップルが、親の同意を全く得ずに本人たちだけの考えで結婚すると決めて婚姻届けを提出してしまえるわけなんですね。
(婚姻届けの証人が2人必要ではありますが)
近い未来には、高校3年生のカップルが結婚に反対されても結婚を決めて家を出てしまう家庭問題が増えるのでしょうか・・・
(いや、考え過ぎですかね)
成年年齢が何歳であっても、成人への責任や期待は変わらない!
2022年4月の民法改正で、成年年齢が18歳に引き下げられることでの成人式などへの影響についてまとめました。
- 18歳で成人して成人式を迎えるのは、2004年度の生まれからになる
- 18歳の成人になっても、成人式は20歳のままにする自治体が多い
- お酒、たばこ、公営ギャンブルは20歳からのまま
- 成年すれば、18歳から1人で決めて契約できる
- 結婚できる年齢が男女とも18歳からになり、結婚に親の同意は一切必要なくなる
成人式は法律ではなく自治体ごとによるものではありますが、20歳での参加のままとなっていくでしょう。
最初のうちは、成人する年齢が18歳で成人式の参加年齢は20歳ということに違和感があるかもしれませんね。
しかし、成人式が18歳か20歳かということより大切なことは、成人する18歳の年代の人たちの自覚と責任感でしょう。
「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という、成人の日の意味は18歳で成人しても変わることはありません。
成人する年齢が20歳から18歳に引き下げられることで、今まで以上に若い人たちへの期待と責任が大きくなっていくことでしょう。
明治時代から100年以上も続いてきた民法が、大正・昭和・平成を経て令和の時代についに改正され、成人・大人の定義が変わる歴史的な瞬間が訪れようとしています。
これからの若い世代の人に、日本や世界の未来を託すための民法改正の結果につながってほしいですね。