最近の受験問題は、昔と大きく変わってきています。
2020教育改革が進められ、大学入試ではセンター試験に変わって「大学入学共通テスト」に変わります。
記述式問題や英語の民間試験などは文部科学省が大学入試に導入をいったん見送ることを発表しましたが、時代が進むにつれて教育のあり方が変わってきているんです。
もちろん、大学入試問題だけでなく高校入試や中学入試も大きく変化してきています。
その中で、中学入試の社会の問題では解答を漢字で書くことを指定されることが今では当たり前になってきているとか。
私自身も中学受験を経験していますが、入試問題で特に漢字で書かなければいけない場面はなかったように記憶しています。
それだけ、ここ最近で大きく受験の内容や考え方が大きく変わってきたんでしょうね。
そこで、中学受験での社会用語を漢字で書くことがなぜ求められるようになってきたのか、また漢字を効率よく覚えるにはどんな勉強法がいいのかについて考えてみます。
小学生が解く社会の問題が漢字指定になる理由とは?
中学校入試は、小学校6年生が受ける試験問題です。
もちろん問題を解くのは小学生の生徒であり、入試という経験が初めての子がほとんどのはずです。
なぜ、中学受験の社会の教科でも解答を漢字指定するようなったのでしょうか?
考えられる理由を考えてまとめてみます。
①常用漢字が追加され、小学生で都道府県名を全て漢字で書けるから?
2020年度から実施予定の指導要領では、全ての都道府県名の漢字を小学校で習うことに決まりました。
1989年の平成元年以来の常用漢字の改正で、それまでの常用漢字1006字に20の漢字が追加され、常用漢字は1026字となりました。
しかも、追加された20の漢字は全て都道府県の名前に使われている漢字なんです。
新たに常用漢字に追加された字体には、「阜」「栃」などの難しい漢字から「岡」などの比較的よく使う漢字もあります。
常用漢字にこの20字が追加されたことで、日本の都道府県の名前に使われている漢字が全て常用漢字となったんです。
しかも、都道府県名に使う漢字は、全て小学校4年生までに全て習ってしまうんだとか。
つまり、小学校5年生なら都道府県名を全て漢字で書けてしまうのが普通なんです。
この常用漢字の改正によって、都道府県名は全て漢字で書くのが自然になり、さらに地名は漢字で書きましょうという風潮になってきているようです。
社会の地理の問題では地名は漢字で書くようになり、さらに広がって歴史の人名や出来事の名称も漢字指定で書くようにするケースが多くなっています。
②社会の入試問題でも受験生の漢字力を見たいから?
現代は、パソコンやスマホの発達によって、小学生でもスマホを持つ時代になりました。
便利になりましたが、日常生活で手書きで漢字を書く機会が少なくなっています。
大人でも漢字力の低下が懸念されているので、義務教育で漢字をきちんと書くことの重要性が見直されています。
そのため、社会の問題で解答を漢字指定にすることで、漢字の学習をしっかりさせる狙いがあるんじゃないでしょうか。
③記述式が多い中で、漢字で書ける書けないで点数に差をつけたいから?
現代は、入試問題の内容も大きく変わってきています。
AIやロボットなどのITの急速な発達によって、ただ覚えるだけじゃなく自分で考えて創造できる人が社会で求められる時代になってきました。
そのため、昔のような暗記中心のテストではなく、自分の考えを記述式で答える形式の入試問題が増えてきています。
大学入試問題では記述式の導入はいったん見送られましたが、中学校入試では国語の教科などですでに記述式の問題は取り入れられています。
記述式の問題が一般的になってきている中、漢字をちゃんと書ける受験生に点数を与えたいとする考え方はごく自然な考えですね。
漢字で書ける生徒をきちんと評価して、書けない生徒との点数に差をつけたいから漢字指定にするんですね。
記述問題の解答中の漢字だけでなく、記述式じゃない問題でも解答が漢字指定になるケースもありますよ。
社会の用語を漢字でしっかり覚えるための勉強法は?
現代は、時代の変化により記述式の入試問題が一般的になり、それと同時に漢字で書くことが求められるようにもなってきました。
ただ、国語の問題なら漢字をしっかり覚えるのはわかるけど、社会の歴史用語や地理用語まで漢字で覚えるとなると受験勉強の負担がかなり増えてしまいます。
特に、社会用語には人名などでとても難しい漢字が使われている場合もあり、覚えるのがさらに大変になってしまうことも。
社会の用語をしっかり漢字で書いて答えられるようにするための効果的な勉強方法を、中学受験の勉強の経験談からまとめます。
①用語を声に出して読むのと手で書くのと両方で覚える
国語の漢字の問題のために勉強するときも同じですが、漢字を覚えるためには読みと書きの両方をしないとしっかり覚えられません。
漢字は、読めることと書けることがセットでできて初めて「覚えた」と言えるんです。
漢字もちゃんと覚えたい社会用語が出てきたら、教科書やプリントを見て黙読するだけじゃなく、声に出して読んだり書いたりすることも一緒にやると覚えやすくなります。
必ずしも声に出しながら漢字で書く必要はありませんが、なるべく同じタイミングで読みと書きを一緒に学ぶと覚えやすいですよ。
紛らわしい地名の「牡鹿半島(おじかはんとう)」と「男鹿半島(おがはんとう)」も、漢字を書きながら読みを覚えるセットの覚え方で間違えなくなりました。
②漢字が持つ意味も理解しながら文字を覚えていく
漢字をただ暗記するように覚えるのではなく、文字の持つ意味を理解しながら覚えると漢字を間違いにくくなります。
たとえば、中学受験の社会によく出る人で、名前の漢字を間違いやすいのが「福沢諭吉」です。
私が受験勉強をしていたとき、周りでも福沢諭吉の「諭」を間違える例がすごく多かったですね。
諭吉を「論吉」や「輸吉」と書いてしまう誤答には注意するようにと、塾の先生が口を酸っぱくして言っていたのをよく覚えています。
この場合、漢字の意味や成り立ちまでしっかり理解できていれば間違いは起きません。
「論」はそもそも「ろん」と読む漢字なので、「ゆきち」の名前には使えません。
「輸(ゆ)」のつくり(右側部分)が共通している「諭」が正解になります。
そして、「輸」は「輸出入」「輸送」などの熟語に使われる漢字なので、福沢諭吉の名前には「諭す(さとす)」と読む「諭」が適切です。
このような考え方や覚え方をすれば、社会用語でも漢字表記をしっかり覚えられるケースがあるんですよ。
③どうしても難しい場合は、まず読み方から段階的に覚えていく
読みと書きを同時に学んだり、漢字の意味も理解することで覚えやすくなるケースはありますが、どうしても難しい場合はあります。
社会用語の場合、歴史の偉人の人名では「親がそういう漢字で名付けたから」としか説明できないケースがありますし、漢字で答えるのが難問になることは多々あります。
その場合、まずは読み方からしっかり覚えて、その次に漢字の書きを覚えるといった段階的に覚えていく勉強方法もよいです。
社会の場合、歴史の流れとか地理のつながりとか、用語を覚えるより大切な要素はたくさんあります。
漢字を覚えることにこだわり過ぎて、社会の勉強の本質的な部分が嫌いになったりおろそなになったりしては本末転倒です。
漢字の読みと書きを一度に勉強して覚えるのが理想ではありますが、どうしても難しいならまずは用語を覚えることが優先です。
まずは用語を口頭で答えられるようになって、余裕が出てきたら漢字を覚えるようにしましょう。
中学入試の社会の勉強でも漢字をしっかり意識することが大切
中学受験での社会の問題での漢字指定について、理由と勉強法をまとめました。
どこの中学校の入学試験問題でも必ず漢字指定というわけではありません。
各学校によって違いますし、問題にもよります。
ただ、これまでに記述式の問題や漢字指定での解答は多くなってきています。
社会の受験勉強でも、しっかり漢字を意識して用語を覚えていく勉強方法にすべきでしょう。
漢字表記で覚えることで言葉そのものの意味を理解しやすくなり、テストの時に思い出しやすくなるメリットがあります。
ひらがなだけで覚えてしまうと、発音だけで覚えているので頭に浮かびにくくなってしまうことだってあるんです。
解答のときの漢字指定がないとしても、用語をちゃんと覚えるためになるべく漢字でも書けるようにしましょう。
社会は、歴史でも地理でもたくさんの要素がつながっているので、用語をしっかり覚えているだけでも全体像の理解度が大きく違ってきますよ。
高校受験の漢字の勉強法については「高校受験の漢字のおすすめ勉強法!覚え方が違う5つのポイントとは?」をさんこうにしてください。