毎年、夏になると「土用の丑の日」という言葉が耳に入ってきますよね。
土用の丑の日と言えば、うなぎを食べるイメージです。
というより、土用の丑の日ってうなぎを食べるイメージしかない人も多いでしょう。
そもそも、土用の丑の日ってどういう日でどんな意味や由来がある日なのか?
なぜ、土用の丑の日にうなぎを食べるのか?
今まで何となくうなぎを食べるだけの日にしてきたのは、ちょっともったいないです。
土用の丑の日の意味や、ウナギを食べる由来を知ると、ちょっとおもしろいんですよ。
さらに、驚くことに土用の丑の日の食べ物ってうなぎ以外にもいくつもあるって知っていましたか?
うなぎ以外にも土用の丑の日に食べる食べ物を知っておくと、うなぎだけにこだわらなくて済むので献立を考えやす少なるし、食卓を豪華にすることもできますよ。
土用の丑の日の意味や由来、そしてうなぎ以外に食べる食べ物についてまとめます。
2020年の土用の丑の日はいつ?そもそも意味は何なのか?
まず、土用の丑の日がそもそもどんな日なのかについて簡単に説明します。
土用の丑の日は「ウナギを食べるための日」ではなく、季節を表しているんですよ。
四季がある日本ならではの言葉なんです。
「立春・立夏・立秋・立冬」は聞いたことがあるでしょう。
それぞれ、暦の上でその季節に入る日のことですが、その立春や立夏の前の18日間を「土用」と呼びます。
つまり、季節の変わり目の18日間が「土用」であり、その18日間の中で「丑の日」にあたる日を「土用の丑の日」と呼びます。
なので、春夏秋冬それぞれの前に土用の時期があり、土用の丑の日もあります。
夏だけでなく、春夏秋冬それぞれに「土用の丑の日」があるんです。
その中で、特に夏の土用の丑の日が有名なんですね。
1日ごとに十二支を順にあてはめているので、丑の日の日付は毎年変わってきます。
ちなみに、夏の土用の丑の日は立秋の直前の時期になります。
「夏が終わってもうすぐ秋ですね」っていう時期ですよ。
夏の土用の丑の日が、年に2回やってくる場合もある
土用は、立春・立夏・立秋・立冬の直前の18日間であると解説しました。
18日間に十二支をあてはめて、「丑の日」などの表現をしています。
でも、18日間に十二支をあてはめるので、2週目に入って2回登場する干支も出てきます。
ですから、土用の18日間の中で丑の日が2回登場する年もあるんですよ。
たとえば、2020年と2021年の夏(立秋の直前)の土用の丑の日はいつなのかというと、以下の日程になります。
- 2020年の夏の土用の丑の日:7月21日、8月2日
- 2021年の夏の土用の丑の日:7月28日、8月1日
2020年も2021年も、夏に土用の丑の日は2日あります。
土用の丑の日が2回ある場合、順に「一の丑」「二の丑」と呼ぶので覚えておきましょう。
また、土用の丑の日は「土いじりをしてはいけない日」とも決められています。
土用の丑の日に土いじりをしてはいけないって、あなたは知ってましたか?
その意外な理由はここでは割愛しますので、理由を知りたい人は「土用の丑の日に土いじり禁止はなぜ?うっかりしたときの方法も解説!」を読んでください。
土用の丑の日にうなぎを食べる習慣はなぜ?由来はいつのこと?
1年の春夏秋冬それぞれに土用の丑の日があることがわかりました。
では、夏の土用の丑の日に限ってうなぎを食べる習慣ができた由来と理由は何でしょうか?
実は、とても有名な歴史上の偉人が考えた習慣だったんです。
平賀源内が夏の土用の丑の日にうなぎを食べることを広めた
土用の丑の日に、うなぎを食べる習慣ができたのは江戸時代です。
考案したのは、エレキテルで有名な江戸時代の学者の平賀源内なんです。
本来うなぎの旬の時期は秋から冬であり、昔は夏にあまり食べるものではありませんでした。
そんなうなぎについて、「夏にうなぎが売れない」と知り合いのうなぎ屋さんから相談を受けた平賀源内のアイディアで、
「本日丑の日」
土用の丑の日うなぎの日
食すれば夏負けすることなし
と店先に看板を掲げたところ、うなぎが売れるようになって他のうなぎ屋さんもマネするようになったそうです。
平賀源内のこのフレーズは、日本最初のコピーライティングと言われています。
ということは、平賀源内は日本初のコピーライターということになりますね。
土用の丑の日に「うなぎを必ず食べるべき」とは限らない
知り合いのうなぎ屋さんを助けるためのアイディアとして平賀源内が考えた、夏の土用の丑の日にうなぎを食べようというキャッチコピー。
それが、現代までずっと習慣として続いているのもすごいことですよね。
ただ、もともとの由来がうなぎ屋さんの売り上げを助けるためが始まりだとしたら、無理にうなぎだけにこだわる必要はないかもしれませんね。
土用の丑の日は「う」のつく食べ物!理由と5つのおすすめ!
土用の丑の日にうなぎを食べるようになった由来がわかったところで、ここからは夏の土用の丑の日に食べるとよいと言われている食べ物を紹介します。
実は、夏の土用の丑の日には「う」がつく食べ物を食べるとよといと言われています。
その理由は、うのつく食べ物は夏バテ防止にピッタリの食材が多いため、古来からそう言われてきたそうです。
ここから、うのつく食べ物で夏にピッタリの代表的な食べ物を5つ紹介します。
うなぎ
さきほど、うなぎは本来の旬の時期ではないとか、平賀源内が知り合いのうなぎ屋さんを助けるためが由来とか説明しました。
でも、うなぎそのものは夏バテ防止にもってこいの食べ物なんです。
うなぎには、エネルギーの代謝に関わるビタミンB群が多く含まれているので、夏バテ防止や食欲不振の解消に効果が期待できるそうです。
また、ビタミンAも多いので夏カゼの予防にも効果的と言われています。
本来は栄養とか関係なく平賀源内が広めた習慣でしたが、あとになると意外と間違っていなかった夏の習慣なのかもしれませんね。
うどん
うがつく食べ物で、うどんも夏にピッタリの食べ物です。
秋に向かって残暑が厳しい時期でもサッパリ食べられますし、消化吸収も良いので胃腸が弱りやすい夏でもおすすめですね。
暑い夏の日には、冷たいうどんを食べたくなりますが、あえてあたたかくしたうどんを食べるのもいいですね。
胃腸をあたためることで活発になり、食欲回復の効果も期待できます。
家で食べるのであれば、冷房で冷えた体を温めることにもなるので、夏にあたたかいうどんもいいものですよ。
野菜などを加えて具だくさんにすれば、さらに栄養価がアップしてもっと夏バテ防止になります。
梅干し
梅干しにはクエン酸がたっぷり含まれているので、疲労回復の効果が大きいのはわりと知られています。
食欲増進の効果もあるので、夏バテの防止や回復におすすめですね。
そして、梅干しと言えば唾液がたっぷり出る食べ物です。
唾液をしっかり出すことで、消化を助ける効果もあります。
また、冷蔵技術が発達していない昔の時代には、梅干しによる解毒作用の効果もあったようです。
ちなみに、うなぎを梅干しは食べ合わせが悪いと言われますが、医学的根拠はありません。
一説によると、梅干しの食欲増進効果でうなぎを食べ過ぎてしまうから、という由来があります。
食べすぎを気をつければ問題ないので、うなぎとの食べ合わせをあまり気にする必要はありません。
瓜(うり)
瓜の仲間の食べ物も、夏におすすめですね。
最も身近な瓜といえば、きゅうりでしょう。
夏野菜としてみんなが知っています。
水分やカリウムが豊富なので、夏の暑さで熱くなった体を冷やすのにピッタリのおすすめ夏野菜です。
きゅうりのほかにも、スイカも水分が豊富な夏の瓜ですね。
あとは、苦瓜(にがうり)の別名でも知られるゴーヤー、冬でも食べられることから名づけられた冬瓜なども夏におすすめの瓜です。
夏の瓜は、水分やカリウムで夏の暑さから体を守ってくれます。
脱水症状や熱中症の予防にも効果が期待できますね。
牛、馬、うさぎなど動物の肉
「土用の丑の日に牛を食べる」なんて言ったら、「丑の日」の意味を勘違いしているじゃないかと他の人から言われそうですが大丈夫です。
肉をしっかり食べてたんぱく質をとることで、夏バテ対策になります。
牛肉以外にも、馬の肉やうさぎの肉など動物の肉をしっかり食べるのが夏の体にいいんです。
「丑の日に牛を食べる」とか「ウナギじゃなくてウサギを食べる」というのは、ちょっとおもしろい小話のようにも聞こえますが、ちゃんと意味があることなんですよ。
良質のタンパク質を積極的に摂ることが大切で、 たんぱく質が不足すると疲労感や食欲不振などの症状が出てしまいます。
肉が焼けた美味しそうなにおいは食欲増進にもなるので、さらなる夏バテ対策の効果も期待大です。
5つの食べ物はそれぞれ役割が違う!うまく組み合わせたレシピがおすすめ
うのつく食べ物で、おすすめの代表的なものを5つ紹介しました。
丑の日におすすめの5つの食べ物は、それぞれ役割が違ってきます。
- うなぎ:体力をつける、夏バテ予防
- うどん:消化吸収が良い、食欲がなくてもさっぱり食べられる
- 梅干し:疲労回復、食欲増進
- 瓜:体の余分な熱を出す、水分の補給
- 牛などの肉:体力をつける、夏バテ予防
うまくレシピで組み合わせることで、それぞれのメリットをうまく体に取り入れることができますよ。
うなぎだけじゃなく、うのつく食べ物で夏を乗り切りましょう!
土用にも伝統的な行事食がある!代表的なレシピを3つ紹介
土用の丑の日は四季がある日本古来からの伝統なので、あまり知られていませんが伝統食がちゃんとあるんです。
うのつく食べ物だけじゃなく、土用の丑の日には「土用食」と呼ばれる食べ物を食べる習慣があります。
「土用食」を3つ紹介しますね。
土用卵
土用の時期に卵と言っても、「うなぎの卵とじ」や「う巻き」などの卵料理の意味じゃありません。
土用卵とは、土用の時期に産み落とされた卵のことです。
暑気、厄払いに卵を食べると精がつくと昔から伝えられています。
昔は卵が高級品でしたから、土用の時期は体のことを考えてぜいたくに産みたて卵を食べていたんでしょうね。
現代では、卵が1年中ずっと出回っているので、無理に土用の時期の卵を探す必要はないでしょう。
卵を食すことが、普通に土用の丑の日の伝統食になるんですね。
土用しじみ
しじみも夏の土用の時期に精がつく食べ物として、昔から食べられてきました。
実は、しじみには夏と冬の2回も旬の時期があり、夏の土用のしじみは「土用しじみ」と呼ばれます。
8月に産卵時期を迎えるので、その直前の7月の土用の時期のしじみは栄養をたっぷりたくわえているんですよ。
土用の丑の日のうな重やうな丼のおともに、しじみのお味噌汁などはいかかでしょうか?
土用餅
土用の丑の日の伝統食に、お餅があるなんてちょっとビックリですよね。
「土用餅」は、磯辺焼きやちからうどんで食べるのではなく、あんこをつけたあんころ餅でいただきます。
昔の宮中の公家は、土用に入る日にガガ芋の葉を煮出した汁でもち米の粉を練って丸くしたものを味噌汁に入れて食べると暑気あたりしないという風習がありました。
この風習が、江戸時代からお餅をあずきで包んだあんころ餅を食べるようになったんです。
あんこの原料のあずきには厄除けの意味も込められているので、夏の無病息災を願って食べられます。
うなぎだけにこだわらず、おいしい栄養満点レシピで夏バテ防止
夏の土用の丑の日に食べる食べ物を、うなぎ以外に紹介してきました。
土用の丑の日と言えばうなぎのイメージが一番ですが、なにもうなぎだけにこだわる必要はありません。
うのつく食べ物や土用食など、伝統的に食べられてきたものがたくさんあるんです。
どの食べ物も夏におすすめのものですし、夏の暑さから体を守ってくれる意味のある食べ物です。
いろいろな食べ物を取り入れて、おいしく栄養満点の献立で夏の暑さを乗り切りましょう!